3-4.マオイストと国軍の板ばさみ モテ(18歳)
僕の名前はモテ・マガルです。本当の名前は別にあるのですが、仲間が僕をモテと呼ぶのでこの名前が気に入っています。今18歳です。実家はシンドゥルパルチョーク郡です。2年ほど前、16歳の頃から路上で生活しています。

実家は農家です。家にいる時は僕も両親の畑仕事を手伝っていました。学校に通っていました。通学途中の道で、マオイストや国軍兵士に会うこともありました。マオイストは僕たちに「君たちも一緒においで」と声をかけます。一方、国軍は「君の村ではマオイストは誰かい?」と尋ねます。何度か、国軍兵が道で僕たちをマオイストと疑い、検査をしました。そんな怖い体験が続いたので僕の友達の大半は村から逃げて、町に行ったのです。

ある日の話です。僕は両親と畑に出ていました。そこへ何人かのマオイストが来て両親に言いました。「あなたの息子はもう大きい。この子を連れて行くからな」。両親は止めようとしましたが、マオイストは両親に言い聞かせました。「怖がるな。お前の息子は人民解放軍の兵士にはしない。炊事係にするだけだ」。僕は彼らについていきました。両親は何もすることができなかったのです。炊事係だと言われていたのに、僕は荷物運びをさせられました。結局僕は2ヶ月間マオイストの荷物を運びました。

ある日の夕方のことです。マオイストのグループのひとつがジャングルを通って移動する途中、僕も彼らと一緒にいました。ところが、国軍と偶然出会ってしまい、大きな戦闘になりました。僕は逃げ出し、そこからまっすぐラガンケルに着きました。その後、僕はラガンケルのある食堂で働き始めましたが、そこでは夜11時まで仕事をしなければならず、僕は給料をもらわず逃げました。そして荷物運びの仕事をするようになりました。その仕事を始めてから、路上で寝るようになりました。路上では多くの友達と出会いました。テンプーで客を呼び込む仕事とプラスチックを拾う仕事もするようになり、友達が僕をある施設に連れて行きました。それが『僕らの家』です。僕はここで生活するようになりました。

僕は時々、マオイストといた日々を思い出します。その頃、彼らは僕に銃の使い方も教えました。銃で金持ちを殺して彼らの金を奪ってやりたいと考えたものです。僕はこのごろ、村をよく思い出します。友達と遊びに行ったり、魚釣りに行ったり、時々ピクニックに行ったことを思い出すと、楽しくなります。しかし今も僕は路上で生活しています。それは楽しいことではありません。

原著者注:インタビューをした5ヵ月後、彼は『僕らの家』から出て行きました。今、彼がどこにいるかはわかりませんが、この話は彼が『僕らの家』にいた頃に話してくれたものです。