平和のための市民による紛争の記録プロジェクト

はじめに
これは、「ネパールにおける平和のための市民による紛争の記録プロジェクト」によって出版された4冊のネパール語の本を日本語と英語で紹介するページです。

ネパール語の本は2006年から2007年にかけて出版され、翻訳ならびに編集は2008年から2009年にかけて行われました。無料のブログサイトを利用した都合上、画面に投稿年月が入っていますが、これは出版日等とは一切関係ありません。

日本語および英語版は、ネパール語原本の直訳ではなく、訳注をつけ、一部表現・統計数字等を修正しています。引用文献の出典が確認できなかった場合には訳注にその旨記していますが、記述された内容について、翻訳者・編集者は責任を負えません。登場人物のうち未成年については仮名にしています。成人の場合は本人了解の上、実名を記述しています。

背景
「ネパールにおける平和のための市民による紛争の記録プロジェクト」は、庭野平和財団の活動助成を受け、2005年8月から1年間実施されました。10年あまり続いた紛争について、外部者が収集した情報をもとに死傷者数を伝えた報道はあるものの、当事者あるいは身近な者が記録をすることで、現実と向きあい、力を取り戻すような作業は行われてきませんでした。ネパールの歴史を振り返っても、政治史のみが記述され、民衆の生活が時代の流れにどういう影響を受けたのかはほとんど記述が残っていません。

このプロジェクトは、従来、記録作業と縁のなかったネパールの若者を主体に、多様な人々がそれぞれ紛争からどのような影響を受けたのか、事実と向き合うことで、その多面性を理解し、地域の平和や和解に役立てることを目指しました。参加者は日記、インタビュー、写真、絵といった手段で、紛争被害者と信頼関係を作り、情報を収集しました。

目的
一般の人々が紛争や政治不安によって影響を受けている日常の記録を通じて、以下2点を目指しました。
a) 外部者が情報収集することが目的ではなく、当事者本人あるいはその近くにいる者が記録作業を通じて過去の自分が置かれた状況と向き合い、力を取り戻すこと
b) ネパール各地の年齢、性別、民族・カーストの異なる人々が、それぞれ紛争からどのような影響を受けたのか事実を知って紛争の多面性を理解し、地域の平和や和解に役立てること

方法
1) オリエンテーション

首都カトマンズだけでなく、タプレジュン、ダン、ロルパ、スルケット、バンケなど地方の郡でもこのプロジェクトに関心のある人を探し、ジャーナリストやNGO関係者など協力者が現地でオリエンテーションを行いました。写真家やジャーナリストが記録作業の方法や技術指導を行ったワークショップには計10団体82名が参加しました。日常の記録のために日記をつけることや、日本から寄贈された中古カメラを活用して自分の身近な対象を撮り続けることを参加者に伝え、参加する人に中古カメラが貸与されました。

2) 記録作業
紛争の記録と言うと、戦闘や路上での抗議行動などの「事件」に重点がおかれがちですが、このプロジェクトは、参加者が身近で出会った人の人生や生活の変化について自分でテーマを決め、自分の好きな手段で記録するよう呼びかけました。日記、エッセイ、詩、絵、漫画、写真、ビデオ撮影や劇などさまざまな表現方法を紹介しました。最初の段階では、参加者ができるだけ自由に表現できるようにし、この過程を通じて、参加者自身ならびに紛争被害者の傷が癒えることを目指しました。

3) 記録の編集
参加者は仲間同士、またはジャーナリストの協力者ならびにプロジェクトコーディネーターから作業過程で助言を受けました。2006年半ばまで、4団体・個人が活動を継続し、日記やエッセイ、詩、絵、壁新聞、写真を収集しました。あまり良い写真は撮れなかったのでに、日記やエッセイ、詩をもとに、ブックレットを作成することにしました。編集者・ジャーナリストらが協力して編集作業を開始したところ、不足している情報が多いことがわかったので、追加取材をしたり、参考文献から資料を集めました。編集作業の開始から半年後に、ネパール語版が完成しました。

4) 本の活用

このプロジェクトでは、当初から農村に住む人に集めた記録を見てもらいたいと考えていました。4冊の本を出版した「シュリジャンシル」出版社がネパール全土75郡に書籍を流通させるネットワークを持っていたので、そのルートを通じて、各地の書店に配布しました。また、参加団体のひとつであるSEEDは地元で出版発表会を開いたり、夫が行方不明になった件を本の中で証言をしている女性たちがカトマンズのテレビ・ラジオ局で自分の体験を語る際の広報材料として活用しました。その後、時間はかかりましたが、英語と日本語への翻訳作業を行いました。ネパール人と日本人だけでなく、イギリス人、カナダ人のネパール在住者も協力してくれました。

謝辞
このプロジェクトを支援してくださった庭野平和財団、カメラの寄贈者、取材、出版、翻訳作業に関わってくださったすべてのみなさんに感謝します。

お願い
このプロジェクトは事務所や職員等を持たない時限的な活動です。このウェブサイトに翻訳版を載せた時点で活動は休止しますが、ここに掲載した内容について、引用・利用されたい方は、メールでご連絡ください。メールの件名を「ブックレット利用の問合せ」としてください。無断転載等は一切お断りします。
nepalpeacenetjpATyahoo.co.jp


関係団体連絡先
ネパール語版原本出版社
Bijaya Raj Acharya
Srijanshil Prakashan, Kathmandu
E-mail: bijayaraj.acharyaATgmail.com
TEL: +977-1-4218063, +977-98510-97716

SEED
Shree Ram Chaudhary
Programme Coordinator
Society for Environment Education Development (SEED)
Tulsipur, Dang
E-mail: seed.peaceATntc.net.np
TEL: +977-82-522039

Shanti Sewa Griha
Krishna Gurung
Chairperson
P.O. BOX 7861
E-mail:shantisevaAThotmail.comTEL: +977-98510-43710, +977-1-4492412

JAFON
Rewat Raj Timilsina
Chairman
Jagaran Manch Nepal (JAFON)
Kathmandu
P.O.Box No. 15142; K.P.C: 615
Email: youthforstreetATyahoo.com
TEL: +977-98510-74587

Mohila ko Haat
Bagwati Nepal
Chairperson
Mohila ko Haat
P.O.BOX 4903
E-mail: amolikaATwlink.com.np
+977-1-4430049

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